看護実践

看護の力でよいアウトカムを

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 看護部では、「看護の力で患者のアウトカムに差を出す」ことを看護の重要なミッションだと考えています。そのために、患者の身体がもつ力、心がもつ力、他者や社会とのつながりの力を最大限に活かすこと、医療チームが機能するよう、各職種の役割と機能を理解し、各職種が専門性を発揮できる関係づくりをすることに取り組んでいます。「患者の身体がもつ力」を活かすためには、根拠に基づいた的確な看護技術、セルフケア能力を高める患者教育、ベッドサイドリハビリテーション、清潔ケアが大切です。特にスキンケア、口腔ケアには力を入れて取り組んでおり、褥瘡の発生率も化学療法患者の口腔トラブルの発生率も非常に低い状態を保っています。看護の力で合併症を予防し、患者の回復を支えていることが、当院の素晴らしい臨床成績につながっていると自負しています。また、患者やご家族と丁寧に関わり、希望の実現に向けて支援すること、意思決定を支援することにも力を入れて取り組んでいます。

チーム医療

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 当院では、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士による「褥瘡対策チーム」、看護師、社会福祉士による「退院支援チーム」、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師による「感染制御チーム」など、さまざまな多職種チームが組織横断的に活動しています。 さらに、互いに密接にコミュニケーションがとれる中規模病院のよさを生かし、理学療法士と転倒予防に取り組んだり、薬剤師と安全な与薬に取り組んだり、多職種が専門性を発揮し協力して、よりよい医療の提供に取り組んでいます。

看護相談外来

当院では、専門の教育を受けた看護師が看護相談外来を実施しています。患者さんやご家族に対して治療や副作用、生活の相談に対応し、必要に応じて多職種と連携して対応しています。

造血幹細胞移植後フォローアップ外来(LTFU):過去に造血幹細胞移植を受け、当院外来に通院中の方を対象に保険診療で行っております。造血幹細胞移植で 心身ともに大きなダメージを受け、移植後GVHDや晩期障害などで苦悩している患者さんに対して、2012年11月から開設しました。社会復帰に向けてGVHD、日常生活、経済面、心身等の様々な悩みの相談に応じ、支援を行っています。面談を通して、少しでも患者さんのQOL(生活の質)の向上を図り、問題の早期発見・早期対応に努めています。

がん看護相談:当院で抗がん剤治療を始める方、あるいはすでに抗がん剤治療を行っている患者さんを対象にかん化学療法認定看護師が相談を実施しています。がん化学療法を行う患者さんが、納得した上で治療を選択し、薬物に関する知識を習得し、早期に副作用対策が行えるよう支援します。またQOL(生活の質)の維持・向上を図り、安心して生活が送れるように相談に応じ、継続して社会生活を送れるよう支援しています。


各部署の取り組み

当院看護師の各部署での取り組みを紹介します。
4階病棟消化器外科・脳腫瘍外科を中心とした病棟です。術前検査入院から手術、さらには術後化学療法など継続的に患者と関わっています。当院はICUがないため、4階病棟で手術入室から手術直後の患者の受け入れも行っています。看護師にとっては、一連の周手術期看護を学び、急性期の看護知識や技術、アセスメント能力を習得できるメリットがあります。患者にとっても、具体的な術前オリエンテーションを受け、術後看護計画を立案し、説明いたします。術前から術後までの継続した関わりを持つことで信頼関係も生まれます。私たちは、手術後の患者に対して早期離床はもちろん、精神的な支援にも力を入れていこうと取り組んでいます。
緊急入院・緊急手術であっても医師と協力し、万全の体制で臨めるように看護も全力で取り組んでいます。また、看護部のミッションである、「看護の力で患者のアウトカムに差を出す」ということをモットーに専門性を高めるべく病棟内での勉強会は実際の看護場面のシミュレーションを取り入れるなどの工夫をしています。
患者やご家族と深く関わることで新しい発見も多く、看護師として充実した毎日を送っています。看護師の働きかけで動けなかった患者が介助で歩行できる状態となり、一時帰宅が実現するなど、改めて看護の力の大きさを感じます。医師や多職種と連携し、患者とご家族に満足のいく医療を提供すべく努力しています。
6階病棟感染免疫内科、アレルギー免疫科、総合診療科、関節外科、緩和科などの多くの診療科で構成された混合病棟です。入院の患者さんの多くが慢性疾患やがんの患者さんの為、多くは退院後も病気を抱えて生活しなければなりません。その為、看護師は入院中に患者さん自身が自分の病気や治療に向き合えるように、医師や病棟薬剤師と日々コミュニケーションをとりながら、看護を提供しています。ADLの低下や退院後の生活に支援が必要な患者さんに合わせて、理学療法士と連携したリハビリテーションや退院支援看護師、ソーシャルワーカーと連携した退院支援にも力を入れています。このように看護師だけでなく多職種みんなで協力し医療・看護が提供できる病棟です。また、HIV感染症や膠原病、血友病性関節症、がん患者の在宅調整など専門的な知識や技術を要する疾患が多いため、スタッフみんなが積極的に外部の研修に参加し、病棟内でも勉強会を開催するなど、より良い看護を提供できるよう努力しています。
7階病棟当病棟は、血液腫瘍内科として33床を有する無菌病棟です。近年、血液がん患者の治療と支持療法は、新規抗がん剤の承認、既存薬の適応拡大、新規治療レジメンの開発などにより飛躍的に進歩し、血液がん治療の選択肢は加速度的に拡大していることに伴い、患者の意思決定場面も増加しています。私たちは、入院や治療によってさまざまな影響を受けるライフサイクルの発達課題について”その人らしさ”を大切にするサポートを行い、また、患者の意思決定を共に考え支援するために各職種の専門性が効果的に発揮し合えるチーム医療連携に取り組んでいます。そして、より質の高い看護実践を提供するために、互いの専門性を高めるべく研鑽に励んでいます。
外来外来では、健診や予防接種で来院される方から化学療法・輸血療法などの治療を受けられる方まで、幅広く対応することが必要となります。安心して在宅医療が継続できるように、複雑化する医療を理解し意思決定できるように限られた時間の中で必要な情報をタイムリーに収集し、多職種と連携し支援を行っています。また、多職種カンファレンスを行い、必要な支援の検討や振り返りを行い質の維持・向上に努めています。加えて専門的な知識や資格を持つ看護師による看護相談外来も実施しています。
手術室・内視鏡検査室手術室と内視鏡検査室は一つの看護単位になっています。手術を受ける患者には全例術前訪問し、手術についてのオリエンテーションを行うことで不安の軽減に努め、できる限り患者の声を手術に反映できるような看護の提供を行っています。また、術後訪問を行い自分たちの看護実践を評価することで、さらなる看護の質向上ができるように努力しています。周術期ケアパスを導入することで、患者の手術決定から退院後のフォローまでを他部署、多職種で共有、実践できるよう連携強化に取り組んでいます。
内視鏡検査室では、内視鏡検査技師認定資格者による処置技術の習得のためのトレーニングを行い、安全で円滑な検査・処置の実施と看護師の役割拡大に努めています。
看護支援室看護支援室は、専門看護師・認定看護師・院内認定看護師など組織横断的に活動するスタッフが所属している部署です。それぞれが、 看護の質向上、院内・看護部の連携推進、看護職員教育の充実、学習の支援、外部見学・実習の受け入れ体制の強化に取り組んでいます。月に一度のミーティングを通じて事例検討や勉強会を行い、個々の専門的な活動の振り返りや情報交換をして切磋琢磨しています。
また、 教育委員会等と連携し、これから専門看護師・認定看護師・院内認定看護師、学会認定看護師を取得したい人へのサポートもおこなっています。